立川市在住のテレビプロデューサー、田川一郎さん(69)が雌の野良猫との出会いと別れを描いた絵本「ビビ」を自費出版し、反響を呼んでいる。舞台は古里・山口県田布施町でテレビ朝日を定年退職後に始めたブルーベリー農園。ブルーベリーの頭文字から「ビビ」と名付けた。3カ月の海外取材を控え、立川に連れ帰ろうとした時、ビビは田布施駅前から逃げ出した。「人間の親切は迷惑だったかもしれない」。ビビへの「わび状」のつもりという田川さんだが、愛情に満ちている。
田川さんは1999年にテレビ朝日を退職するまで、ユニセフ親善大使の黒柳徹子さんに同行し、主にアフリカの難民キャンプの実情を伝える番組に約20年かかわってきた。退職後もブルーベリー栽培の傍ら、個人の制作会社で黒柳さんの番組づくりを続けている。
祖父の休耕田を利用し、99年からブルーベリーを試験的に植え、01年から無農薬で本格的に栽培を始めた。2年ほどたったころ、ビビにエサを与えていた近所の大工が亡くなり、ビビはやせていった。見かねた田川さんがキャットフードを与える。最初は警戒して近寄らなかったが、畑から約300メートル離れた田川さんの家の前に現れ、同居するまでになった。初めて耳にするテレビや電話の音にも慣れ、田川さんと一緒にベッドで寝る一方、野性を失わず、天井裏のネズミを捕まえて食べたこともあった。
田布施駅前でタクシーを降りた時、キャリーバッグを破って逃げたビビとは、3年以上も会っていない。「自然の中で暮らしたいという気持ちがわからなかった」「他人に生き方を無理やり押しつけてはいけない」。そんなことに気付いた田川さんはビビとの時間を記録に残そうと考えた。絵の中村みつをさんともすぐに意気投合し、昨秋の出版にこぎつけた。交流のある作家、椎名誠さんは「静かでやるせなくて胸が熱くなって、そうして勇気のわくお話」と評する。
地元の多摩だけでなく他県の書店でも取り扱われるなど好評だ。読者の9割は60、70代の女性。組織を離れた男性にも手に取ってほしいという。自然や環境の大切さもビビを通して訴えたかったことだが、「自分も組織の中にいる時は、例えば夕日を見てきれいだと思ってもそれだけで、考える余裕がなかった」と話す。
逃げ出したビビがアフリカにたどり着き、子どもたちと触れ合う。絶滅にひんした植物たちがアフリカで一堂に会して会議を開く。プロデューサーと農家の二足のわらじを履く田川さんは、童話作家として次作の構想も温めている。
「ビビ」はA5判53ページで、1000円(税込み)。購入・問い合わせは田川さんのホームページから。【横井信洋】
毎日新聞より引用
田川さんは1999年にテレビ朝日を退職するまで、ユニセフ親善大使の黒柳徹子さんに同行し、主にアフリカの難民キャンプの実情を伝える番組に約20年かかわってきた。退職後もブルーベリー栽培の傍ら、個人の制作会社で黒柳さんの番組づくりを続けている。
祖父の休耕田を利用し、99年からブルーベリーを試験的に植え、01年から無農薬で本格的に栽培を始めた。2年ほどたったころ、ビビにエサを与えていた近所の大工が亡くなり、ビビはやせていった。見かねた田川さんがキャットフードを与える。最初は警戒して近寄らなかったが、畑から約300メートル離れた田川さんの家の前に現れ、同居するまでになった。初めて耳にするテレビや電話の音にも慣れ、田川さんと一緒にベッドで寝る一方、野性を失わず、天井裏のネズミを捕まえて食べたこともあった。
田布施駅前でタクシーを降りた時、キャリーバッグを破って逃げたビビとは、3年以上も会っていない。「自然の中で暮らしたいという気持ちがわからなかった」「他人に生き方を無理やり押しつけてはいけない」。そんなことに気付いた田川さんはビビとの時間を記録に残そうと考えた。絵の中村みつをさんともすぐに意気投合し、昨秋の出版にこぎつけた。交流のある作家、椎名誠さんは「静かでやるせなくて胸が熱くなって、そうして勇気のわくお話」と評する。
地元の多摩だけでなく他県の書店でも取り扱われるなど好評だ。読者の9割は60、70代の女性。組織を離れた男性にも手に取ってほしいという。自然や環境の大切さもビビを通して訴えたかったことだが、「自分も組織の中にいる時は、例えば夕日を見てきれいだと思ってもそれだけで、考える余裕がなかった」と話す。
逃げ出したビビがアフリカにたどり着き、子どもたちと触れ合う。絶滅にひんした植物たちがアフリカで一堂に会して会議を開く。プロデューサーと農家の二足のわらじを履く田川さんは、童話作家として次作の構想も温めている。
「ビビ」はA5判53ページで、1000円(税込み)。購入・問い合わせは田川さんのホームページから。【横井信洋】
毎日新聞より引用



